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サイトの更新を、わたしたちとAIの手に

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サイトの更新を、わたしたちとAIの手に

 自社サイトのお知らせを1本直したい。ただそれだけのことなのに、制作会社にメールを送り、見積もりを待ち、反映されるのは数日後。心当たりのある情報システム担当の方も、多いのではないでしょうか。

 日々の業務に追われていると、新しい技術の情報を追いかけるだけでも大変です。「AIが話題なのは分かる。でも結局、うちは何をすればいいのか」。そう感じるのは、自然なことだと思います。

 弊社はこのたび、自社サイトをPayloadという新しいCMS(記事や画像を管理するしくみ)で作りなおしました。いちばん変わったのは、社内のだれでも自分の手でサイトを更新できるようになったことです。込み入った作業は、AIに手伝ってもらえます。この記事では、その新しいCMSが具体的に何が違うのかを、事実にもとづいてやさしくお伝えします。よく比べられるWordPressのAI対応も、公平に紹介します。ITが本業でなくても読みやすいよう、技術の細部は読み飛ばしても筋が通るようにしました。

AIも一緒に、サイトを使う時代へ

 まず前提を、ひとことで。CMSとは、サイトの記事や画像を管理する土台のしくみです。お知らせを差し替えたりブログを書いたりする「管理画面」を思い浮かべてください。

 ここ数年で変わったのは、サイトを見るのが、わたしたちだけでなく、AIも一緒になったことです。検索エンジンに続いて、AIがサイトの中身を読み、ときには書きかえる。そんな流れが、少しずつ身近になってきました。その入り口になっているのがMCPというしくみです。MCP(Model Context Protocol)は、AIを社内のシステムやサービスに安全につなぐための「共通の差込口」のようなもの、と考えてください。これに対応していると、ChatGPTやClaudeのようなAIが、決められた範囲でサイトを操作できるようになります。

 つまりCMS選びは、「人にとって使いやすいか」に加えて、「AIにとって扱いやすいか」も関わる時代に入りました。とはいえ、急いで乗りかえなくても大丈夫です。いま自社のサイトがどんなしくみで動いているかを知っておくだけでも、これからの判断がぐっと楽になります。

WordPressも、AIに本気で向かっている

 ここで、ひとつ大事なことを。「古いCMS=WordPress、新しいCMS=Payload」という単純な話ではありません。世界のサイトのおよそ4割で使われているWordPressも、AIへ本格的に舵を切っています。

外部から操作する窓口を、もとから持っている。WordPressは2016年から、プログラムやAIがサイトを読み書きするための差込口(REST API)を標準で備えています

公式のAI専門チームができた。2025年に、AIへの対応をまとめて進める公式チームが発足しました

AIがサイトを操作する土台を整えている。サイトの機能をAIから呼び出せるようにする新しいしくみ(Abilities API)が本体に入り、先ほどのMCP対応も公式に進んでいます

文章づくりを助けるAI機能もある。見出しや本文の下書き、翻訳などを管理画面の中で手伝う機能が広がっています

 くわえてWordPressには、世界最大級の「使える人の多さ」「プラグイン(後付けの機能部品)の豊富さ」「安く始められる手軽さ」という、ほかにない強みがあります。むしろAIへ着実に進んでいる、現役のCMSです。ここは正直にお伝えしておきます。

Payloadは、何が違うのか

 そのうえで、弊社が今回えらんだのがPayloadです。Payloadは「最初からコードとAIを前提に設計された」新しい世代のCMSです。事実として、こんな特徴があります。

サイトの設計図をコードで書く。どんな記事項目を持つかといった構造を、画面で一つずつ設定するのではなく、プログラムとして書きます。設計がそのまま記録に残り、変更の履歴も追えます

AIが扱いやすい形でデータを保存する。記事の中身を、整理された構造化データ(決まった形に整ったデータ)として持ちます。項目ごとに分かれているので、AIが「どこに何が書いてあるか」を正確に読み書きしやすくなります

1つの設計から、操作の窓口が自動でそろう。プログラムから直接さわる窓口、外部とつなぐ窓口(REST/GraphQL)が、同じ設計から自動でできます

下書き・版の管理・予約公開が標準装備。書きかけを保存し、過去の版に戻し、日時を決めて公開する。実務に必要な機能が最初から入っています

AI連携の公式部品がある。AIをつなぐための公式の部品(MCPプラグイン)が用意されています。しかも、人が管理画面で編集するときと同じ権限ルールやチェックが、AIの操作にもそのまま効きます

オープンソースで、データは自分のもの。ライセンス料はかからず(MITというゆるい条件で公開)、データベースもサーバーも自社で持てます。だから、特定の会社に縛られず、自社の判断で自由に動けます(ベンダーロックインが小さい)

 なお、Payloadを開発するチームは2025年6月に、デザインツールで有名なFigmaに加わりました。その際にも「オープンソースのまま続ける」と明言されています。新しいCMSを選ぶとき、「開発元が続くのか」は気になる点です。大手の傘下に入り継続が示されたことは、ひとつの安心材料といえます。

ひと目で見る比較

観点WordPressPayload

設計のしかた

画面で設定・プラグインで拡張

コードで設計(履歴が残る)

記事データの持ち方

一塊のHTML

構造化データ(AIが読み書きしやすい)

外部・AIの窓口

REST APIを標準装備

設計から自動で複数の窓口がそろう

AI連携の公式部品

公式の対応を整備中

公式部品あり(権限ルールも共通)

エコシステム

世界最大。人材・部品が豊富

新しく、規模はこれから

始めやすさ

手軽・低コスト・情報が多い

開発の知識が必要

 これは優劣の表ではなく、「何を大事にするか」で向き不向きが見える地図だと思ってください。

「AIが扱いやすい」って、どういうこと?

 少しだけ、面白いところを。なぜ「構造化データ」だとAIに向くのか。

 たとえるなら、WordPressの記事は「びっしり書かれた1枚の紙」です。人が読むぶんには十分ですが、AIが「ここの金額だけ直して」と頼まれると、紙全体を読み解いて、該当箇所を正しく見つける手間がかかります。いっぽうPayloadの記事は「項目ごとに仕切られた書類」です。タイトル欄、本文欄、と分かれているので、AIは決まった場所を確実に読み書きできます。

 もうひとつ、「コードで設計してある」ことの効きめも大きいです。Payloadでは、人が管理画面から編集しても、AIがプログラム経由で編集しても、まったく同じチェック(入力ルール・編集権限・公開の段取り)を通ります。だから、AIに手伝ってもらった更新と、わたしたちが手を入れた更新が混ざっても、サイトは安定して動きます。AIを運用に組み込むうえで、これは地味ですが大事な安心につながります。

 ただし、ひとつ正直に添えておきます。「AIにとって読み書きしやすい」というのは、設計のしくみから言える性質であって、計測した数字ではありません。WordPressでも、先ほどの新しいしくみが整うことで、この差は少しずつ埋まっていきます。

実際に作って、分かったこと

 ここまでは一般的な特徴です。では実際どうだったのか。弊社の自社サイトは、すべてこの構成で動いています。

土台:Payload 3.85/Next.js 16/PostgreSQL(いずれもプログラムやデータベースのしくみの名前)

記事・お知らせ・実績紹介など、複数の種類のコンテンツをコードで設計

書きかけの保存と、公開前に仕上がりを確認できるプレビュー機能を利用

記事のひな型などは、AIがプログラム経由でまとめて登録

これらを自社で借りたサーバー上で運用し、サーバー代は月2,000円ほど

 いちばんの実感は、社内のだれもが自分の手でサイトを直せるようになったことです。日本語の画面から更新でき、込み入った作業はAIと相談しながら進められます。情報に追いつくだけで精一杯だったわたしたち自身が、まず手を動かして確かめてみた、という記録でもあります。

 弊社がこの構成に期待しているのは、3つです。1つめは、自社サイトを新しい技術の実験場にして、その知見をそのままお客様への提案に活かすこと。2つめは、大手のSIerやコンサルに頼むと費用のハードルが高い領域を、小さく試せる形でお届けすること。3つめは、わたしたちとAIが自然に力を合わせる運用を、自分たちで確かめてから広げることです。

 いっぽうで、これも正直に。WordPressが向いている場面も、たくさんあります。すでに使える人が社内に多い、情報や部品が豊富で安く早く立ち上げたい。そんな場合はWordPressが堅実です。Payloadは「AIも使う前提でサイトを持ちたい」という目的に、いまのところ素直に答えてくれる選択肢だ、という話です。

まずは、小さく試すところから

 弊社は「やさしくデジタル」を合言葉にしています。新しい技術を、必要な人に必要なだけ、やさしく届けたい。この記事も、その気持ちで書きました。

 WordPressもAIへ本気で向かう今、CMS選びは「わたしたちにもAIにも、やさしいか」で考える時代になりました。まずは、自社のサイトがこれからどうあるとよいかを考えるきっかけになればうれしいです。そのうえで「もう少し詳しく聞いてみたい」「うちなら何ができるだろう」と思うことがあれば、気軽に声をかけてください。まずは小さく試すところから、一緒に考えます。